10月といえば、SFファンタジーの大御所のレイ・ブラッドベリ(Ray Douglas Bradbury、1920年~2012年)の短編集「十月はたそがれの国(The October Country)」(US 1960年 / 宇野利泰訳、創元推理文庫、1965年)がある。高校生のとき、友人にすすめられて以来、ファンになった。
(本ブログ関連:”レイ・ブラッドベリ”)
SF小説のジャンルは多様で、ハードコアから対極のSFファンタジーまである。ファンタジーといっても、妖精物語ではない。物語りの舞台(時代や空間)を自由に駆け、あるいは日常のふとした闇を深堀りし、そこに潜む幻想を語った。そういえば、少年を主人公にしたものが多い気がする。
文庫本の表紙や挿絵を描いたJ.ムグナイニ/ムニャイニ(Joseph Mugnaini)の独特な表現が忘れられない。表紙の建築物の絵は、アルフレッド・ヒッチコックの映画「サイコ」(1960年)に登場した、モーテルに隣接した丘に建つ2階建ての建物(カルフォルニア・ゴシック様式の建築物)のイメージへつながる。後の世代のティム・バートンの子ども向けの怖い映画もそうだ。
ところで、10月となれば、今年も一年の1/4しか残っていないことに気付く。毎年気付いていて、同じ思いを毎度繰り返しているわけだが。10月を何度繰り返せばいいのだろうと、つくづく思うきょうこのごろ。