ブログ本文&資料

2022年12月30日金曜日

(資料)エノケンの「最後の伝令」に雪が降る

喜劇王エノケン(榎本健一、1904年~1970年)が出演した軽演劇「最後の伝令」について知りたくネット上を探した。

子どものころ、父親からエノケンといえば「最後の伝令」だと聞かされたことがある。その後、夜遅くにテレビ(もしかしたら4チャンネルの日本テレビだったか)で、偶然にも「最後の伝令」の芝居(スタジオ撮影版だったか?)と巡りあった。

芝居は米国の南北戦争下、若い男女の悲恋物語のはずが、役者や裏方の手違いが連続して舞台がハチャメチャになってしまう。まさに抱腹絶倒、腹がよじれて笑いが止まらなかったよう記憶している。「メリーさん、メリーさん」のセリフも、父から聞いた通り発せられたし、紙製の雪が降ったし・・・。

最近になって、ネットのYoutubeや「国立映画アーカイブ」サイトで、「最後の伝令」の動画情報がないか検索したがたどり着けなかった。そこで<映画>や<芝居>についての文字情報を検索したところ、次のような記事を見つけることができた。


<映画についての文字情報>

① 映画評があるブログ「幻想館」*
映画「極楽大一座 アチャラカ誕生」のストーリー紹介・・・より抜粋
・「最後の伝令」を劇中劇にした映画(1956年、東宝、白坂依志夫脚本、小田基義 監督)
・ストーリーを、詳細に記述している。雪降りの場面もしっかり描写されている。感謝。
(*)「幻想館」: http://www.ne.jp/asahi/gensou/kan/eigahyou59/gokurakudaiichizaatyarakatanjou.html
------------------------
・軍隊内で芝居を演じた戦友が、戦後も旅回り一座で役者を続けている。
・一座で脚本化志望の若者と、町の娘との恋物語り。
・演目にリアリズムが必須といわれ、米国の南北戦争を素材にする(・・・とは?)
・劇中劇「最後の伝令」は、エノケンの口上で始まる。
・雪の舞う舞台・・・舞台・裏舞台でドタバタが始まる。
・普段おんな方を演じる役者が、軍人姿となって「メリーさん、メリーさん、大変だ!」という所作の怪しさ。
・ラストに雪がどさっと落ちてくるなど・・・まだまだある。
------------------------

② 神保町シアターのフィルム情報
映画「極楽大一座  アチャラカ誕生」S31'56)/東宝/白黒/スタンダード/53分)・・・より抜粋
https://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/program/kigeki.html
------------------------
・ 映画制作・俳優陣の情報(略)
・エノケンの「メリーさん、メリーさん」で知られる、伝説のアチャラカ劇「最後の伝令」(菊谷栄 作、1902年~1937年)が観られるのはこの映画だけ! 
・柳家金語楼、古川ロッパ、トニー谷、三木のり平ら、日本の喜劇人たちが勢揃い。
------------------------

③ MOVIEWALKER PRESS
映画「極楽大一座 アチャラカ誕生」1956年6月1日公開、53分、コメディ)・・・より抜粋
https://moviewalker.jp/mv24688/
------------------------
昭和七年(1932年)、浅草玉木座**で公演して好評を博し、昨年秋に日劇、同年暮にも東京宝塚劇場で上演された同名喜劇の映画化である。
・芝居、南北戦争余話大悲劇(「最後の伝令」)の幕は切って落されたが、稽古不十分で舞台上のケンカが持ち上り、場内は爆笑の連続となった。だが観客の爆笑に気をよくした荒金興行主と古沢閣下は大喜び。かくて中久保と真知子の恋人同士も目出度く結ばれることになった。
------------------------
(**)昭和五年(1930年)浅草の玉木座・・・という記述もある。


<論文・レポート>

① 「演劇研究 : 演劇博物館紀要」(中野正昭、43, 99-122、2020年)
「エノケン喜劇『最後の伝令』(1931)とフランク・キャプラ映画『陽気な踊り子』(1928) -喜劇にみるアメリカ映画のアダプテーション(脚色)-」
https://waseda.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=58090&file_id=162&file_no=1
------------------------
・「最後の伝令」の原案が、映画「陽気な踊り子(The Matinee Idol)」の劇中劇「アーロンに帰れ(Come Back to Aaron)」であることの分析。
ー (本来、旅芸人のヒロインとブロードウェイの一流コメディアンのメロドラマであるはずの)映画の劇中劇で演じられる、旅芸人一座の演目「アーロンに帰れ」のドタバタといい、映画全体を通じての男女のおさまり具合といい、「最後の伝令」はうまく吸収している。
・後半を「最後の伝令」と「アーロンに帰れ」の展開ごと、詳細に比較している。
------------------------


(参考)
映画「The Matinee Idol(陽気な踊り子)」(1928年)
■ Youtube (登録: Classic Film Library)
「The Matinee Idol (1928) | Comedy, Romance」(雪景色場面 55:33)
https://www.youtube.com/watch?v=wQxC_z6xwRc


② ニッポンヲシロウ
「時代と戦い、激動を生きた、ニッポンの喜劇人たち」
https://www.tv-asahi.co.jp/ss/137/japan/top.html


<新たな劇団の演劇ガイド-文字情報>

① 劇団回帰線
「最後の伝令」(2013.10.24-27、シアターZOO)、舞台化の演出・西脇秀之
http://kaikisen.info/saigono/denrei.html
・「最後の伝令」単独の劇なのか未確認
・芝居の解説より・・・抜粋。
------------------------
・「最後の伝令」(原案・榎本健一、脚色・菊谷栄)
・舞台は、アメリカ南北戦争。若い兵士とその帰りを待つ恋人の物語。しかし女のもとには悲しい知らせが届く。「メリーさん、メリーさん、大変だ…」嗚呼!悲涙血涙の大悲劇……のはずが、セリフはとちる、出もとちる。
・座員たちはその場しのぎの連続で、舞台の上も裏もひっちゃかめっちゃ! 徹頭徹尾のデタラメ、貫徹するドタバタに笑った口がふさがらない!
------------------------

② その他
・「最後の伝令」の作家菊谷栄に焦点をあてたものがある。