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2019年10月10日木曜日

(参考)3つの壁

今年のノーベル化学賞受賞者の吉野彰さんは、少なくとも企業(ビジネス)に所属する民間人である。ノーベル賞受賞者のおおかたがアカデミックな世界に存在しているのと対照的といえる。

もちろんノーベル賞本来の意味で、今回、学術的に評価された訳だから勝手にビジネス側にのみ取り込むわけにはいかないが、市井に向けて語る言葉を多く持ち合わせていらっしゃると思う。吉野さんが人生で経験した、立ちはだかる壁をいかにブレークスルーしたかを聞くのは意味がある。特に若者にとっては。

産経新聞のZAKZAKの記事「ノーベル化学賞・吉野彰氏の “素顔” と成功までの『3つの壁』」* (10/10)に、< ビジネスで成功するために乗り越えなければならない「3つの関門」>を、次のように説いている。(抜粋)
(*)記事:https://www.zakzak.co.jp/soc/news/191010/dom1910100004-n1.html?ownedref=not%20set_main_newsTop
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最初に経験するのが、基礎研究の段階の「悪魔の川」
ここで大半のプロジェクトが対岸まで泳ぎ切れずに脱落する、つまり研究段階で終わってしまう。

開発研究に進むと待ち受けるのが「死の谷」
次々と問題が立ちはだかり、事業化の前にここでも大半が脱落する。吉野さんは「この段階では、なるべく人手をかけないことだ」とアドバイスする。事業化の道筋が見えて初めて、人材と予算をかけるのがよいやり方だという。

最後が「ダーウィンの海」の段階
努力が実って事業化にこぎつけたものの、市場で見向きもされない段階だ。生物進化の過程で起こる自然淘汰(とうた)になぞらえて、生物学者ダーウィンの名がついている。

リチウムイオン電池の場合、出荷が伸び始めるまで5年ほどかかった。

「将来ぜひ、この3つ壁を完璧に乗り越えていただきたい」と、吉野さんは若者にエールを送った。
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いってみれば、将来へ向けての研究テーマの選択、少数精鋭での取り組み(開発)、そして時代との整合性(市場競争)といったところだろう。花開くに、我慢できるかどうかでもある。それらはすべてにいえることだが。

上記はむしろ、経営者の辛抱・肝の座り方についてかもしれない。立ち塞ぐ3つの壁に果敢にチャレンジする研究・開発職者たちを支援できるかどうか試されるようでもある。それだけ、先見性があるのかないのかということにつながる。経営者も大変だ。