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2019年6月29日土曜日

枇杷の実

子どものころ住んでいた社宅街は、南側にゆるく高度を上げる傾斜地に広がっていた。そのため、隣家との境界は少し段差を付けて区切られた。今頃になると、その境界の南側隣家の敷地に育った「枇杷(ビワ)」の木に、黄橙色に膨らんだ実が多数生った。

友だちが遊びに来ると、その枇杷の実を一緒に食おうと、隣家の物置小屋の屋根に登ってつまんだものだ。皮を剥き、自分の家の庭先に種を吐き出しながら食べた。当り前のようにいくらも生っていると、貴重とも思わず面白半分に食した。だから直ぐに飽きた。後で、母が子どもが勝手なことをしたと隣家に詫びているのが聞こえた。とはいえ、枇杷の実の風味はそのとき覚えたものだ。

ところで、近ごろ近所の通り道に、民家の塀越しの枇杷の木からいくつも実が落ちているのを見て、子どものころのことを思い出す。たくさん生った実に野生の鳥たちすら群がるわけではなさそう。野鳥にとって、枇杷の実はさほど魅力がないのかもしれない。

先日、テレビ報道で、一匹の野生サルが街中を転々と移動していて、攻撃的な仕草をしたり、枇杷の木で休憩するようにして実を食べている映像を報じた。野生のはぐれサルにとって、枇杷の実は貴重な食材になったはず。手負いも見えず、まだ若い様子から、別の集団に入るため自ら生まれた集団を離れたのか、それともボスに集団から追い出されたのだろうか。