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2019年5月13日月曜日

ユダヤの歴史を学ぶ-5

先週の今日は、二十四節気の「立夏」だった。気分は初夏だ。寒いのが苦手だったのを忘れて、陽気に誘われて歩き回ったところ、調子に乗りすぎたのか「ふくらはぎ」がつり気味になった。よい天気の今日、用心しながら、市民講座「ユダヤの歴史を学ぶ」に出かけた。

(本ブログ関連:”ユダヤの歴史を学ぶ”)

5回目の今日は、「『ユダヤ教』とはどのような宗教か: キリスト教と異なる道を歩んだユダヤ教」について、前回に引き続きユダヤ宗教史学者の市川裕氏(東京大学教授)に解説いただいた。

1.ローマに神殿を破壊されて流浪の民となった、ユダヤ人のその後をたどった。
  ① エルサレム神殿の概観(動画や写真を交えて紹介)
   ・ヘロデ王大改造時の神殿の姿と、現在の「なげきの壁」の位置
   ・(現在の旧市街の区割り <ユダヤ教、キリスト教、イスラム教[岩のドーム]> )
  ② ローマによる神殿の破壊
   ・あえて強大なローマと戦ったのは、よほどのことがあった
   ・ローマに残る凱旋門に、戦利品としてのユダヤの燭台のレリーフがある
  ③ ローマとの戦いに敗れた後の「持ち運びできる国家」としてのユダヤ教
   ・ユダヤ人は国を失い流浪の民となりながらも、ユダヤ人として生きた
   ・ラビとユダヤ教は、離散後のユダヤ人として生き方(共通認識)をまとめて示した
     - 神と向き合う生き方: 神とつながればどこででも生きられる
     ー 神の教え(トーラー)を「成文トーラー」(モーセ五書)、「口伝トーラー」(ミシュナ)にまとめた

2.ユダヤ人とイスラム世界の関係が、(欧州のユダヤ観と違って)密接であったことを紹介をされた。
  ① ユダヤ教とイスラム教は、律法主義という点で似ている(連続性がある)
  ② イスラム世界で、ユダヤ人は「啓典の民」として保護され、活躍した

ユダヤ人とイスラム世界の交流について、市川氏が著した岩波新書の「ユダヤ人とユダヤ教」(第一章二節)に、イスラム世界との関係を吟味する必要性が語られている。私たちが知る欧州・中東の歴史が、実は欧州のキリスト教的な歴史観によるものということを気付かせてくれる。(ギリシャ文化の伝播にしても、イスラムのアラビア語翻訳を通じてローマに伝わったのだから)