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2018年3月7日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 牙筝

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(2/28)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、擦弦楽器の「牙筝アジェン아쟁)」にまつわる話を紹介した。(前回にあたる 2/21放送については未聴です)

最初に、牙筝の名手「金雲鸞(または金雲蘭、김운란)」について次のように紹介された。
・「金雲鸞」は、朝鮮時代最高の教育機関「成均館」に学んだ優秀な人材だったが視力を失い、牙筝を習い名人になった。朝鮮中期の儒学者「李珥(이이)」は、その音に惚れて、<楼閣から牙筝の音が聞こえると、あまりにも驚いて声も出なくなった> と、牙筝を深い悲しみの音と表した。ある日、金雲鸞が古い位牌堂の傍で牙筝を奏でると、堂中から泣き声がした。死者の霊にも響いたのだ。彼は恐怖に牙筝を持って逃げだしたという。

▼ Bruch作曲の「Kol Nidrei(신의 날)」という曲を、牙筝とピアノ演奏で聴く。

(参考)

(Youtubeに登録のCPR Classicalに感謝)

次に、「牙筝」、「奚琴(ヘグム、해금)」、「伽耶琴(カヤグム、가야금)」や「玄琴(コムンゴ、거문고)」の弦楽器の違いについて次のように紹介された。
・牙筝は、伝統楽器中、最も低い音を出して心の深いところに届く。時に牙筝と、二弦擦弦楽器「奚琴」を混乱することがある。牙筝と奚琴は、両方とも擦弦楽器だが形状が異なり、奚琴は牙筝と比べて小さく、弦も細いため高音が出る。
牙筝は、<桐>の胴にいくつかの弦をのせた楽器で、撥弦楽器の「伽耶琴」や「玄琴」と似た形だが、奚琴は、小さい筒に竹を刺して弦を繋げたハンマーに似ている。伽耶琴と玄琴は弦を弾くのに対し、牙筝と奚琴は弦を擦って音を出す。

▲ 奚琴の演奏で「記憶の中のワルツ(기억 속의 왈츠)」を聴く。セピア色に今様に。

最後に、牙筝の奏法、改良について次のように紹介された。
・牙筝は、高麗時代に中国伝来の楽器で、<桐>の胴体で、人の身より大きく、弦も太いのが特徴。伽耶琴や玄琴は膝の上で演奏するが、牙筝は大きく重たい楽器のため、台上で演奏する。レンギョウの木製の棒を擦って音を出す。鈍音なので、変化の激しい演奏に相応しくないが、20世紀初頭、半分に縮小したものが作られた。弦も細く、弦と弦の間の距離も短くなり、馬の尻尾製の棒で、よりなめらかな音色で演奏するようになった。伝統的な牙筝は、主に宮中音楽を演奏し、新しい牙筝は舞踊の伴奏音楽や祭祀音楽の演奏に使う。

▼ <雨や雪が降る日に似合う、哀切な音色が楽しめる曲>という「牙筝の散調中のチンヤンジョ(=リズム)」を聴く。緩く現代風に。