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2018年9月11日火曜日

(資料) 韓国の高齢化 (2017年)

将来予測はむつかしい。人口統計をもとに(特別な社会・自然変動がない限り)、将来の人口動態の推計は相当可能なようだ。韓国は、高齢化と少子化が、日本以上に進展している。ニュース記事をもとに、継続して韓国の状況をブログに記している。

(本ブログ関連:”韓国の高齢化”、”韓国の少子化”)

Ⅰ.中央日報の記事(9/6)に、韓国統計庁が発表した「2017人口住宅総調査」の結果が次のように紹介されている。
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・(2018年)8月27日に韓国統計庁が発表した「2017人口住宅総調査」によると、昨年11月1日基準で65歳以上の韓国人は712万人で、2016年に比べて34万人増えた。全体人口のうち14.2%を占め、これにより韓国は全体人口のうち高齢者の比率が14%以上の「高齢社会」に入った高齢社会進入速度は世界で最もはやい水準で、日本は高齢化社会から高齢社会になるまでに24年かかったのに対し、韓国は17年しかかからなかった
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Ⅱ.日本総研の「Research Focus」に、韓国の60歳以上のシニア層の経済的・社会的位置について、次のレポートがある。

《レポート》
《 韓国経済の今後を展望するシリーズ⑮ 》 2018年8月30日、 No.2018-027
冷え込む韓国のシニア消費  ― 高齢社会を迎え消費全体の大きな足枷に ―」(調査部 副主任研究員 成瀬道紀)

韓国のシニア層拡大が、社会の成長のおもしとなっている現状・将来について、日本および諸外国との対比しつつ解説されている。本文(pdf)のグラフなど合わせて関心深く読むことができる。レポートの「《要点》」と「4.おわりに」の部分を抜粋させていただいた。

《要 点》
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◆ 韓国のシニア層(60歳~)の消費不振が深刻である。日本と比較すると、韓国では勤労シニア世帯の消費支出が大きく落ち込んでいる。この背景には、所得水準は全年代にわたって日本に遜色ないものの、高齢になるほど消費性向が低下することがある。

◆ 韓国の勤労シニア世帯の消費性向が低いのは、公的年金の給付水準が著しく低いため、退職後の収入に対する不安が大きいことが主因である。韓国の公的老齢年金支給額の対GDP比率は、OECDで最下位である。1人あたり平均月額も日本円換算で数万円程度に過ぎない。さらに、所得代替率の引き下げと支給開始年齢の引き上げが行われているほか、子どもからの支援も期待しにくくなっている。このため、退職後の収入不安は一層高まり、勤労シニア世帯の消費性向は低下傾向にある。

◆ 勤労シニア世帯の消費不振は、韓国経済に深刻な影響を与えている。消費性向が仮に日本並みの高さであった場合、2016 年の個人消費は 3.3%上振れる計算となる。さらに、今後の高齢化により、個人消費の押し下げ圧力は一層高まる見込みである。韓国では、内需主導型経済への転換が課題となっているが、消費を抑制するシニア層の急増により、実現は一段と困難になっている。財政支出の拡大による社会保障の充実も1つの選択肢となろう。
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4.おわりに
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勤労シニア世帯の消費不振は際立っており、それだけで韓国経済に無視できないインパクトを与えている。仮に韓国の勤労シニア世帯の消費性向が日本並みに高かったと想定すると(韓国 62.0%に対して日本は 89.7%)、2016 年時点のマクロの個人消費は 3.3%上振れる計算になる。

・さらに、人口動態の変化による消費押し下げ圧力が強まっていく。足元でベビーブーム世代(1955~1963年生)が 60歳代に入りつつあり、60 歳以上の世帯数が急速に増加している状況にある。このため、勤労シニア世帯の消費性向の低下に歯止めがかかると想定しても、こうした高齢化要因だけで、2030 年の個人消費は現在よりも▲1.1%押し下げられる計算になる。60 歳以上のシニア層の消費不振を改善できなければ、マクロの個人消費に対する押し下げ圧力は一層強まることになる

・韓国では近年、財閥企業を中心とした輸出主導型成長から、家計の所得増加を起点とした内需主導型成長への軌道修正を目指す動きが進んでいる。もっとも、退職後の収入に不安を持つシニア層が急増していく限り、内需主導型成長の実現はますます困難になっていくと予想される

・現状、国民年金に税金を投入していないこともあり、わが国と違って財政収支は黒字基調で推移している。政府債務残高の対GDP比率も4割弱と健全である。高齢社会を迎え、内需主導型成長を目指すには、財政支出の拡大による社会保障の充実も1つの選択肢となろう
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