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2017年7月5日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 水宮歌

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(6/28)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、パンソリの「 水宮歌(수궁가)」など関連する曲を紹介した。

始めに、パンソリ「水宮歌」と、三国統一の「金春秋(김춘추、武烈王)」について次のように紹介された。
・パンソリ「水宮歌」で、南海を治める竜王の病を治すため、ウサギの肝が必要となる。カメはウサギを探すよう命じられ、陸に上がってウサギを騙し王の元へ連れてくる。それに気づいたウサギが、今度は竜王を騙して命を救う話だ。単純な話に、色々な逸話が加わり4時間に渡る長い歌になる。ウサギのように嘘つくことで危機を脱する逸話がある。三国史記に登場する、高句麗、百済、新羅の三国統一の立役者「金春秋」の時代のこと、新羅の金春秋は高句麗に援助を求めたが、監獄に入れられ命まで危うくなる。嘘をついてでも脱出する話を知り、それに成功した金春秋は、新羅に戻って王となる。

▼ パンソリ「水宮歌」で「竜王が新しい建物を建てて宴会を開くが、無理をして病気になってしまう」という、「竜王が病気になる場面(용왕 득병하는 대목)」を聴く。漢字ばかり・・・で。

次に、パンソリ「水宮歌」の原形を釈迦の「本生経」の逸話に遡って次のように紹介された。
・泳げないウサギは、竜王と会うのにカメの背に乗って海中に入る。その様を寺の壁画などで見かける。嘘について、仏教では釈迦の逸話をまとめた「本生経」に記してある。ここではワニとサルが登場する。ワニとサルは友だが、ワニの妻がサルの肝を欲しがる。サルは釈迦であり、ワニの妻は釈迦と争った提婆達多にあたる。この話を原形に、ワニとサルが、ウサギとカメになり、歳月をかけ逸話も加わり、パンソリ「水宮歌」となる。ユネスコ文化遺産のひとつとなる。

▼ 子どもにも歌いやすくした「ウサギ ウサギ(토끼 토끼)」を聴く。ウサギが飛び跳ねるよう、今様に。

最後に、水宮歌にある絶えず襲う危機を、人生の姿にたとえて次のように説明された。
・水宮歌では、絶えず危機が訪れる。最初の危機は、世の中の権力を持つ竜王が病気で死にかかること。海に暮らすカメが王の命令で、命がけで陸に上がること。そして、ウサギを逃がしてしまったこと。ウサギにしても、カメに騙されて死にかかったこと。陸に戻る途中色々な危機に直面することなど、一時も安心できない。
・水宮歌の、絶えず襲う危機から乗り越える姿は、私たちの人生を教える話なのかもしれない・・・とのこと。

▼ 水宮歌をアレンジした、困り果てた意の「ナンカムハネ(난감하네)」を聴く。軽快に困っている、今様に。