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2017年5月31日水曜日

「イディッシュの民話」

単純なデザインを始まりにして、「いれこ」に繰り返していくと、現実の自然景観のような複雑な形になる。あるいは空想だが、物質を微細に奥深く探っていくと、その先に別の空間(次元)が存在する、無限な「いれこ」構造の世界観が好きだ。

先日のブログで、落語に「思い込みと逆転世界」(例えば「粗忽長屋」、「頭山(あたまやま)」)があると記したが、今日、Amazonから届いたベアトリス・ヴァインライヒ(Beatrice  Weinreich)の著「イディッシュの民話(Yiddish Folktales)」(秦剛平訳、青土社)に、こんな話(第3話「不幸は不幸を呼ぶ」)が載っていた。説教調だが、物語の場面(構造)に興味深いものがある。
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昔あるところに、貧乏な男がいた。物乞いして歩くのがいやでたまらず、そのことを神に訴えた。そのため、彼の背中にこぶができて大きくなりはじめ、そればかりか、そこからはまた男が出てきて大きくなりはじめた。その男には口もついていた。乞食が一切れのパンを食べようとすると、背中の男がそれを奪ってしまうのだった。

そこで乞食は祈った。「主よ、消したり書いたりしないでください。すべてあるがままにしておいてください」

だから人は、自分が不幸だなどと決して口にしてはいけないのです。不幸はさらに不幸を呼ぶからね。
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