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2016年10月26日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 散調

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(10/19)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、「散調(산조)」に関わる3曲を紹介した。

(本ブログ関連:”散調”)

始めに、「伽倻琴(カヤグム)散調」の創始者、金昌祖(김창조、1856~1919年)について次のように紹介された。
・散調は、1800年代末、全羅南道霊岩にいた金昌祖が、それまで伝わったリズムを一定形式に構成して作った、撥弦楽器「伽倻琴」による「伽倻琴散調」という独奏曲形式が最もよく知られる。その頃、同様な試みをする者が多くいて伽倻琴散調を作ったが、金昌祖が創始者とされる。彼が広く知られたのは、活発に活動する弟子が多くいたこともある。その中に、金昌祖の孫娘の金竹坡(김죽파)もいる。

▼ 「伽倻琴散調(가야금산조)」を聴く。辺り静かに、伽倻琴の弦が女性の呟きのようにしみる。

次に、散調のテンポ構成と、西洋楽器による演奏例として金秀哲(김수철)の「ギター散調」について次のように紹介された。
・散調はもともと、即興的リズムを演奏する音楽だ。<テンポは、チンヤン、チュンモリ、チュンチュンモリ、チャジンモリ>と呼ばれ、緩から、中庸、急へと移り変わる。即興的音楽だが、奏者特有のリズムもあり、それぞれに奏者の名が付く。金竹坡流散調は、祖父金昌祖のリズムを基に、自身のリズムを加え人気を博した。コムンゴやテグムの散調なども作られた。安定的な構造に加え、感動を与える多様なリズムが合わさり、華麗な器楽曲とされる。最近、西洋楽器で即興的な散調演奏の試みがあって、従来の散調の趣きと組み合わせて奏される。

▼ 大衆音楽家の金秀哲(김수철)による演奏「ギター散調」(2002年)を聴く。どこかウェスタン風な香りする、今様に編曲している。

・金秀哲は、一時期、国中を騒がせた人気歌手だ。ソウル五輪とアジア大会の前夜祭、2002年日韓ワールドカップの開幕式など国際イベントで、伝統的音楽と楽器を基に演奏した。彼のギターの国楽演奏は、深い理解により多様な試みと変化を引き出した国楽ミュージシャンとも言えるだろう。

最後に、横笛テグム(大笒:대금)と似た、西洋の木管楽器フルートによる散調の演奏について次のように紹介された。
・西洋のクラシック楽器フルートでも散調演奏がある。(木管楽器)フルートの構造と奏法は、竹管の横笛大笒と似る。ただし、テグムには「清孔」という孔があり、葦の内皮をはって振動させるため、独特な荒っぽい音が魅力であるのに対し、フルートは清く柔らかい音が特徴。今は、フルートによる、国楽の散調といった形で演奏もされる。

▼ <チュンチュンモリ>テンポによる、フルート演奏「フルート散調」を聴く。これはこれで、ひとつのフルート曲だなあ。