KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(8/10)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、東屋や蝉に関連した3曲を紹介した。
始めに、学者ソンビが風流を楽しんだ、潭陽(담양)にある東屋「息影亭(식영정)」について次のように紹介された。
・暑い日が続く。そんな日に、景色の良い東屋で涼み、横笛のテグムの音色を楽しみたい。聴くうちに眠りに誘われれば最高だろう。南の全羅南道潭陽には、学者ソンビが風流を楽しんだ著名な東屋が多く、その中に雲が休んでいく東屋の意の「息影亭」がある。星山(성산)の麓に建つ小さな東屋だ。光州湖の向かいに見える無等山は絶景。その周りを囲む杉、竹林、夏には華やかに咲く百日紅の花も美しい。
▼ 息影亭の景色を描く 「山雲(산운)」(作曲 黄秉冀(황병기)、1936年~)を聴く。風に流れる雲を今様に描写する。
次に、上記の曲「山雲」の元になった、歌辞作品が「星山別曲(성산별곡)」について次のように紹介された。
・朝鮮中期のソンビ、金成遠(김성원)が建てた息影亭に、歌辞(가사)文学、詩歌の大家の正哲(정철)がよく訪ねて風流を楽しんだ。その景色を表した歌辞作品が「星山別曲」だ。<夜間に降った雨のおかげで蓮の花が咲くと、山中が香りで満たされた>という内容の詞から始まる。先に聞いた「山雲」は、この「星山別曲」の山の景色を表現した曲だ。息影亭を建てた金成遠は、亭の名を影に例えた。影は原形を追いかけるように、人も自然の法則に従う、だから喜ぶことも、悲しみ怒ることもない。世に拘束されぬソンビの自由な様子が垣間見られる。
▼ 蝉の方言を使った「メアミ(매아미)」という蝉の歌を聴く。蝉のざわめきが返って辛さを薄めるというのか?
・この「メアミ」の曲には、山菜や粗酒が登場する。富裕層が普段食べる油っこい食物や良酒ではなく、山菜と味の劣る酒だ。民と同じく、名の知れぬソンビの普通の生活だ。美味くないと不満を抱くこともなく、素朴でも食べられることへの感謝。この曲は、素朴な暮らしを称える歌であり、人生の辛さを歌うものでもある。
最後に、北方地域の蝉の方言を使った「サルム打令(싸름타령)」について次のように紹介された。
・北の地域の民謡 「サルム打令」にも蝉が登場する。上記の蝉の歌とは全く違って、自分を去っていった恋人を想う、ある悲しい女性の心が込められた愛しい歌だ。
▼ 北方地域の蝉の方言を使った「サルム打令」の歌を聴く。蝉の声、鳴き声が人に泣くことを誘うのだろうか?