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2016年3月26日土曜日

チョ・ジェヒョン「【コラム】不快な映画広告と集団主義」

中央日報(日本語版)の記事、「【コラム】不快な映画広告と集団主義」(3/26)は、日頃の同紙に珍しい論調だ。チョ・ジェヒョン(米ネバタ州立大経営大学院)という若者が記した、いわゆる国民鼓舞のムードや風潮に対する一種警世的なコラムになっている。

コラム中、イ・ソンヒの広告応援歌「頑張れコリア(힘내라 코리아)」について触れている部分がある。この曲は、彼女の歌ったアニメソング「走れハニー(달려라 하니)」をベースにしたものだ。映画館で(公共的)広告として使われているようで、「頑張れコリア」を載せたYoutubeに様々なコメントが寄せられている。

(本ブログ関連:”イ・ソンヒ「ひとしきり笑いで」”、”イ・ソンヒと政治”)

なお、このコラム投稿者の所属について、中央日報の日本語版は「ネバタ州立大経営大学院」=MBAとなっているが、韓国語版では「ネバダ州立大経営学部3年生」となっている。

어려울때
네 곁을 지켜주는
내가 있어
다시 일어나

힘내라
힘내라
힘내라 대한민국

행복의
날까지!
힘내라 코리아

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・映画館に行くたびに不都合な広告2つを見る。一つは、ある大型劇場が後援する「プレミアムコリア(프리미엄 코리아)」であり、もう一つは、歌手イ・ソンヒが歌う「頑張れコリア」だ。ともに趣旨はよい。「私たちは韓国が誇らしい国であることを忘れていました」、「厳しくても頑張れコリア!」という内容だからだ。それでも何か引っ掛かる。なぜだろうか。

・歌にもなった名演説で米国のオバマ大統領は「Yes. We can!」を10回以上も繰り返す。この文章の主語の「私たち(We)」は「私(I)」が自発的に集まって生じた集団だ。このためオバマ大統領の演説に多くの市民が共感して呼応した。これに対し、これらの広告は私が誇らしい人間であることを想起させるのではなく、私たちの国が誇らしい国であることを強調する。個人が幸せな日でなく大韓民国が幸せな日まで頑張ろうという。

・チャン・カンミョンの長編小説『韓国が嫌で』に登場する女主人公ケナは、なぜ豪州に移民をしたのかという質問に愛国歌(韓国の国歌)と豪州の国歌を例に挙げる。愛国歌では神が守るのも大韓民国であり、万歳を享受するのも大韓民国だ。豪州の国歌は、「豪州の人よ、喜ぼう。私たちは若くて自由だ」で始まる。こうした価値観の違いが、韓国を離れた理由だと彼女は話す。映画館の広告が不快である理由も同じだ。集団の栄光を称賛する歌を聴いて、私たちは「なぜ私が誇らしく、私が幸せではいけないのか」を無意識の中で問う。

・もちろん集団主義は必ずしも否定的なものではない。韓国が短い期間に先進国入りするのに共同体を優先視する文化が少なからず影響した。全世界を驚かせた「金集め」運動で通貨危機を克服した経験もある。しかし集団主義が過ぎると全体主義やファシズムになることもある。

・ペイパルの共同創立者ピーター・ティールは著書『ゼロ・トゥ・ワン』で、「不明瞭な悲観主義」に触れている。欧州の多くの若者は未来に悲観的だが、どれほど、そしてどんな方法でさらに悪くなるか知らないため、社会的な成功や物質的な豊かさよりも、自己充足的な小さな満足を追求する傾向があるという。多くの韓国人もこうした「不明瞭な悲観主義」の中で暮らしている。もう韓国社会も構成員に「頑張れ大韓民国(힘내라/대한민국)」のような常套句の代わり、「あなたが幸せになればよい」「あなただけの幸せを探せ」と励ます時ではないだろうか。
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(面接室前の廊下に並ぶ姿は? 屋上でバッティングしたボールはどこへ?)

(Youtubeに登録の도미정、Blue K、NH農協銀行に感謝)