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2016年10月14日金曜日

講演「あなたはイディッシュ語を知っていますか?」

8月に年寄りの冷や水というか下手の横好きというか、好奇心にかられてチャレンジした気持ちがまだ残っていたようで、イディッシュ語紹介の講演を聴講しに出かけた。今回は、エルサレム・ヘブライ大学講師のミリアム・トリン博士がイディッシュ語で話し、それを東京大学研究員の鴨志田聡子博士が通訳するという。

(本ブログ関連:”イディッシュ語”)

場所は、高田の馬場にある大学の会議室で、30名ほどが聴講した。もっぱら学生主体だったが、プロの他言語の翻訳家とか研究者もいるわけで、素人はだまって話しを伺うばかり。幸いなことに、配布されたレジメが、日本語の丁寧な箇条書きになっていて、置いてけぼりされることはなかった。

1.イディッシュ語の歴史 ・・・ 民族の移動と成立
10世紀末、ドイツのライン高地に起源する、ユダヤ人が話すイディッシュ語は、東欧への民族移動を経て、第二次大戦の結果(それまでは1,100万人が使っていた)話者を大幅に失い、現在のイスラエルでは現代ヘブライ語の隅で少数にとどまっている。 → アシュケナージ

2.イディッシュ語の語彙 ・・・ 各種言語との混成
ドイツ語、ヘブライ語・アラム語だけでなく、イタリア語、フランス語を、また民族移動の過程でスラブ語(ポーランド語など)を取り込んで語彙を豊かにした。

3.イディッシュ文学 ・・・ 最盛期の3作家(スフォリムアレイヘムペレッツ)紹介と、現代詩人(スツケヴェル)の作品紹介
19世紀半ばに登場した作家は、大衆に対して、①指導的・教化的に見る、②大衆目線で接する、③政治と伝統回帰という3様があった。
また、現代詩人がイスラエル成立を謳った、歴史の重層と多様さを持つ語義を駆使した詩作を紹介された。

久し振りに若い学生たちに混じって聴講するという、ちょっとした懐かしい経験をさせていただいた。