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2016年8月15日月曜日

百日紅(サルスベリ)

近所をぐるり巡れば、さまざま木に咲く花を見ることができる。そのなかでも、百日紅ほど見慣れた感じのするものはない。姿が好みというより、異質の感の方が大きいのだが。百日紅の花ぶりは、いかにも古い中国風で、光の差し込んだ古美術店の奥でうっすらと輝いている一幅の絵、そんな気がする。

(本ブログ関連:”百日紅”)

ところが、この花ときたら、近所の大きな植木屋の庭一面に咲き、また民家の垣根越しに花の塊りを見せつける。こないだ咲いていたのにといった按配で、孤高の風情もない。少々近寄りすぎて見失うのかもしれない。

暑さと湿気を運ぶ南の風が強まるとともに、薄曇りの空は鈍色を増す。そのとき雨滴を感じた。乾いた路面は降った雨粒を吸い、独特の臭いをする。土の渇きを知るようだ。もし土砂降りにでもなったらと小走りするが、どうやらおさまった。

台風が接近している。百日紅は強い花だから、豪雨にあっても散ることはない。古風な佇まいは、意志の強さを表しているようだ。