この冬一番の寒気といわれるたび遣り過してきたが、今日の寒さには参った。通り道に風が吹いているわけでないのに、耳が痛いほど。空気の冷たさに、おもわずコートの襟を閉じた。
図書館帰り、ファストフード店に寄る。先日マスコミを賑わした余波か、店内はがらんとしている。窓側の陽だまりの席を見つけて坐り、しばらく時を過ごした。
全盲のスーダン人が日本語で書いた、日本生活記「わが盲想」(モハメド・オマル・アブディン、ポプラ文庫)を読む。えっ、どうやって書いたの、ということから関心が始まる。パソコンの読み上げソフト、文字変換機能(漢字変換した文字について音声解説する機能)を使って書きあげたそうだ。言葉の才能あふれた方のようで、親父ギャグまで連発する・・・。
店内で、幼い声が聞こえてきた。父親と来ているようだ。相手してくれるたび、「パパァ、ありがとう」って何度もいうんだよ、それも天使のような声で。素直な感謝と、あまりにきれいな心に心配になるくらいだ。
紙ナプキンを取りに行ったついでにのぞいてみれば、小さな女の子だった。息子しか知らぬ私には、この子のお父さんが羨ましかったよ。大事に大切に育てて欲しい。
外の冷えは深まって、ついに雪が降り始めた。帰宅が大変かなと躊躇するほどだったが、すぐに止んだ。長居は無用。陽も傾いたところで席を立った。