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2015年1月13日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 寿斉天

年初のKBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(1/7)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第87回として、宮中音楽「寿斉天(수제천)」、民謡「アリラン(아리랑)」、そして行進曲「キルクンアク(길군악)」にまつわる話を紹介した。

始めに、王道政治の要である「礼楽」の「(音)楽」の役割について、次のように紹介された。
・礼儀の「礼」と音楽の「楽」、「礼楽思想」は朝鮮時代、国家統治の基本原理だった。音楽に関する書「楽記(악기)」は次のよう説明する。礼儀は人々を区別し、音楽は人々を同化させる。人を年齢や役割で区別し、礼儀を以って互いを敬う。音楽で互いを理解して親しくなれば、争いが起こらない。宮殿では、世の調和を感じられる音楽が好まれた。代表曲に「寿斉天(壽齊天)」がある。

▼ 国立国楽院正楽団(정악단)演奏「寿斉天」を聴く。日本の雅楽に似ているが、随分と煌びやかで色彩的な響きだ。

次に、民謡「アリラン」が世に知られるようになった、第一次世界大戦時の<逸話>を次のように紹介された。
・民謡「アリラン」は、民族を代表する歌で、ユネスコ人類無形遺産にも登録された。この曲が世に知られたのは、第一次世界大戦時、ドイツの捕虜収容所で、世界各国からの捕虜を対象に言葉と歌を研究したことによる。当時録音した記録の中に、ロシアの捕虜が歌ったアリランがある。その昔ロシアに移住した朝鮮系(高麗人)ロシア兵が捕虜となりドイツへ送られて、遠く離れたドイツで歌った曲がアリランだ。

(本ブログ関連:”アリラン”)

▼ 「アリラン」の歌を聴く。都会風にアレンジされている。原曲は、ずっと韓国大衆音楽の背骨の役割を果たすのだろう。

最後に、行進曲「キルクンアク(キルクナク、道軍楽)」が奏された場面について次のように紹介された。
・行進曲「キルクンアク」は、歩きながら演奏する音楽という意味だ。もともとは王を乗せた輿や兵士が行進するときに演奏した音楽で、行進曲であるだけに力強いのが特徴。そのためかキルクンアクを歌で表現した曲もある。民族音楽の「農楽」でもキルクンアクのリズムを演奏することがある。農夫は一年の仕事を終えると、キルクンアクを演奏しながら家に帰った。

(本ブログ関連:”キルクンアク”)

▼ 「キルクンアク」を打楽器主体の演奏で聴く。この演奏も軽快に洗練されている、今様である。

(付記)
鳥がさえずり合うように、音楽は響き合い調和するもの、人に伝え聴かせるもの。辻芸人、旅芸人、音楽に貴賎はない。音楽は水紋のようなもの、だから、その輪を乱してはならないと思う。