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2014年7月14日月曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 葬儀と歌

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(7/9)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第63回として、死者を見送り家族を慰める「葬儀と歌(상례와 소리)」にまつわる話を紹介した。

初めに、棺を運ぶときに歌う「喪輿歌(상여소리)」について、次のような解説から始まった。
・昔は人が棺を運び、そのときの歌が今でも地域に伝わっている。町中の人々が棺を乗せた喪輿(もこし、상여)を肩にかつぎ、亡くなった者への願いと、残った家族を慰める気持ちを込めて一緒に歌を歌う。
・人は希望を持ち、明るい未来を夢見るが、叶えられたとしても、人生の最後に死が待っている。その事実を見つめられるとき、人生について語れるだろう。最後があるからこそ尊い。古くから、亡くなった者を見送る儀式に特に心を込める。この儀式に欠かせないものが音楽だ。西洋に死者のためのミサで歌う曲(レクイエム≒鎮魂歌)があるように、韓国には喪輿を運ぶときの歌「喪輿歌」が伝わっている。この音楽には、亡くなった者と生きている者に対する願いが込められている。

▼ 京畿地域(高陽)の「喪輿歌」を聴く。仏教的な響きがして、感情を包むような庶民の厳粛さを感じる。

次に、喪輿歌の意義について、次のように考察された。
・昔は、自分の家で生まれ自分の家で亡くなった。最近は、病院で生まれ病院で亡くなり、葬儀も簡単に行なうことが多くなった。葬儀が過ぎると、この世に死の存在を忘れて生きるため、死について考えたり、暮らしを振り返る機会は多くない。昔は、墓場に到着するまで町中の人々が喪輿を担ぎ、喪輿歌を歌った。それを聴き、子供たちは、この世に死の存在を自然に学び、若者も、いつか自分も老いることを悟り、今後どう生きるべきか考える機会になる。歌う人も聴く人も、一度聴けば胸に残り、その記憶が(民俗)芸術になる。

▼ パンソリ「沈清歌(심청가)」の中から「郭夫人の喪輿が出る」場面を聴く。靈軸旣駕 往卽幽宅 載陣遣禮 永訣終天 觀音菩薩・・・

最後に、全羅南道の珍島に伝わる、葬儀中に遊ぶ「ダシレギ(다시래기)」について、次のように解説された。
・死は悲しいことだが、生者はその後も生きていかなければならない。残された家族の心を慰めるため、珍島では、葬儀の中で「ダシレギ」という遊びをする。喪輿が出る前日の夜、歌を歌い、劇をしながら楽しむ。庭に集まった人々みなが歌を歌うと、芸人が登場してちょっとした笑劇をする。みなで笑い楽しんだ後、空の喪輿を担ぎ庭を一周し、実際喪輿が家を出発するかのように練習する。家族に心の準備をさせるし、翌日喪輿を担ぐ者に予行演習にもなる。愛する人を見送る最後の瞬間に、みな一緒にいるだけでも家族には慰めになっただろう。

▼ 遺族を慰める遊びに歌う「珍島ダシレギ」を聴く。葬儀って忙しく騒がしいほど、悲しみも吹っ飛んでしまう・・・本当に。