ブログ本文&資料

2014年4月22日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 飛天

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(4/16)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第52回として、「飛天(비천)」にまつわる話を紹介した。

まず、上院寺の釣鐘に描かれた飛天が奏する楽器について、次のような紹介から始まった。
・江原道平昌郡、五台山に位置する「上院寺(상원사)」は、釈迦の真身舎利(遺骨)が納められた寂滅寶宮がある。上院寺には有名な、一度は見ておかねばという、古く伝わる釣鐘がある。韓国の鐘は、形と音が独特で美しく“韓国鐘”の名で呼ばれる。
・上院寺の釣鐘は、新羅時代のものとされ、韓国で最も古く美しいと評価され、重要無形文化財に指定された。鐘の表面に、日本の「」に似た楽器の「笙簧생황)」や、ハープに似た楽器の「箜篌(くご、공후)」を奏する飛天が描かれている。

▼ 「上院寺の朝(상원사의 아침)」を聴く。朝の清んだ空気、陽の気配、生き物の動きを感じさせる・・・今様である。

次に、アジア一帯で広く奏された楽器の箜篌や笙簧と、飛天について、次のように解説された。
・箜篌は、韓国でその奏法は絶えているが、古朝鮮時代に、 女人の麗玉(여옥)が箜篌を奏でながら歌った「箜篌引(공후인)」の歌詞が伝わっている。他国の奏法を参考に、韓国も奏法復元に取り組んでいる。
・笙簧は、中国で人を創造させた神ヨワが、人の生活を豊かにする楽器という伝説がある。今も中国の少数民族の祭りなどで、様々な形態の笙簧が奏される。
・笙簧と箜篌を奏する飛天も、インド起源とされる。高句麗の古墳の壁画、百済の武寧王陵にも飛天の姿が描かれているが、その後は、主に仏教と関連して登場することが多い。飛天が奏する楽器も、「大笒(대금)」、「小笒(소금)」に似た管楽器を吹くもの、琵琶などを奏する姿も見られる。さらに、香を焚き、茶を入れてもてなし、花を撒いて飾る飛天の姿もある。

▼ 「花道(꽃길)」を聴く。陽射しする花畑を、おだやかに見晴らしながら・・・今様である。

・飛天は、字意から、西洋の天使の姿が思い浮かぶが、韓国の飛天に羽はない。飛天は、雲に乗り、自身よりも何倍も長い服の裾をなびかせて、自由に空を往来する。飛天の姿の多くは、その裾が天に向かってなびくことから、天に昇るのではなく、天から降りてきた姿のように感じる。幸運を伝える使者なのか。
なお、ソウルの光化門にある世宗文化会館の大講堂に、この飛天の姿が描かれている。

▼ 「青い鳥(파랑새)」を聴く。ほんの触りだけで・・・今様である。