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2014年9月2日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 郷歌

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(8/27)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第70回として、主に新羅時代の歌「郷歌(きょうか、향가)」*(表記を「郷札(きょうさつ、향찰)」)、および「吏読(りとう、이두)」にまつわる話を紹介した。

(*)「古代朝鮮語解読のさわり」(趙義成 東京外国語大学大学院准教授): 「(現存20数種)数が圧倒的に少ないため、解読自体がままならないし、ここから判別される単語の数も微々たるものである。郷歌は全て漢字で表記されているが、表記法は漢字の音と訓を複雑に組み合わせている」・・・言葉の専門家が言語+漢文+歴史など総動員して・・・

始めに、「郷歌」の表記「郷札」と、「吏読」について、次のように紹介された。
・郷歌は、民族固有の歌という意味がある。新羅時代から始まり、高麗時代でも広く歌われた歌の原型といわれる。
・ハングルができる前、言葉を表現する方法として、中国の漢字と文章の形式をそのまま使ったり、漢字の音読み・訓読みを借用して表記した。このような表音式の表記法を「郷札」、または「吏読」と言う。「郷歌」は「郷札」で表記された。

▼ 郷歌「処容歌(처용가)」の歌を聴く。中国風の香りして洗練された歌い・・・今様である。

次に、「処容歌」に関わる、異人あるいは巫俗信仰とつながる処容(처용)の説話を次のように解説された。
・郷歌には、ストーリーが伝わり、当時の人々の暮らしを想像できる。郷歌「処容歌」は、東海龍王の息子、処容が作った。ある日、悪い病を移す悪霊が処容の妻を狙う。それを見た処容は怒る代わりに歌を歌いながら踊った。すると悪霊は処容の人柄に感動して、二度と現れないと誓った。その時から伝染病が流行りだすと、処容の顔を書いて門の前に貼り付ける風習ができた。処容の踊りは現在までも伝わっている。
・処容が新羅と取引をしていた中東地域の商人であったと推定する学者もいる。

▼ 「薯童謠(서동요)」を笙に似た笙簧(생황)と琴に似た伽耶琴(가야금)で聴く。繰り返す旋律に古きをしのぶ。

最後に、薯童謠のストーリーと、現存郷歌の少ない曲数への取り組みについて、次のように説明された。
・薯童謠は、百済の貧しい少年が新羅の姫に心を奪われて作った歌で、善化(선화)姫が薯童(서동)に恋に落ちる内容。薯童自身でなく村の子供たちに教え歌わせ、子供を通じて国中に広がった。この歌を聞いた王は善化姫を追い出す。そして、薯童は善化姫を迎え入れて結婚し、後日百済の王になったという話だ。
・民族の歌の原型ともいわれる郷歌だが、現在に至るまで伝わっている歌は多くない。新羅時代の歌が14曲、高麗時代の歌が11曲、計25曲。今は歌のリズムは消え、歌詞だけが残る。国文学者が主に研究を続けてきたが、最近は音楽をする者も郷歌に注目している。

▼ 「愛しい妹(보고픈 내 누이*)」の歌を聴く。綺麗な調べ、幼い心のまま、「赤とんぼ」のような捜し求める切なさがある。

(*)歌詞を探したら、僧侶が先に亡くした妹(여동생)について語ったという注釈があった。

金寶愛(キム・ボエ)さんの言葉、「歌や伝統は、私たちがいつでも取り出して使える、まるで宝石箱のような気がします。これからも、沢山の歌が作られ永らく伝わって欲しいものです」