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2014年4月2日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 金弘道

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/26)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第49回として、風俗画家の「金弘道」(キム・ホンド、김홍도、1745年~没年不詳)にまつわる話を紹介した。

    (本ブログ関連:”金弘道”)

まず、朝鮮王朝後期の風俗画家として有名な金弘道の紹介から、次のように始まった。
・金弘道の代表作「書堂(서당)」は、登場の人物をそれぞれ生き生きと描いている。書堂は塾のような所で、先生に叱られて泣く子、それを興味津々と眺める子、どこか申し訳なさそうな先生、こうした瞬間を捉えた「書堂」は、彼の作品中、最も知られている一枚だ。
・その他の作品の、「相撲(씨름)」は、組み合う二人を息を呑んで見つめる観衆、ひとり飴売りする少年などの姿を描いている。また、「舞童(무동)」は、楽器ピリ、テグム、ヘグム、プク、チャングなど奏する丸座の傍らで、長い袖をひらめかして踊る子供の姿を描いている。金弘道は、風俗画だけでなく、宮中画、仙人図、仏教画、ソンビ画、細密画など様々な作品を残した。

▼ 竹風流(대풍류)の中の「念仏打令(염불타령)」を聴く。随分とソフィスティケートされた演奏。

次に、金弘道の人物と音楽に対する造詣について、次のように説明している。
・金弘道は、1745年(朝鮮王朝の英祖(영조)の代)、ヤンバンと庶民の中間の中人身分に生まれた。7歳頃から、文人であり画家、評論家として知られた姜世晃(강세황)の元で絵を学ぶ。その後、師の推薦を受け、絵画担当の官庁、図画署(도화서)で画家として働く。実力を伸ばし、才を認められ、王の公式肖像画「御真(어진)」を任せられ、20代の若さで、当時の王「英祖(영조)」と、後年「正祖(정조)」となる王子(世子)の御真を描いた。
・金弘道は、絵だけでなく人格も高く評価された。当時の記録に、「彼は風采が美しく、心が広く、些細なことは気にもとめなかったので、人々は彼を仙人のような人だと言った」、さらに「彼を見た人たちはみな、高尚で世俗離れしていて、平凡な人とは何か違うということを、一目で見極めることができた」と記されている。
・また、1784年の作品「檀園図단원도)」には、旅行家の鄭瀾(정란)先生、同僚画家の姜熙彦(강희언)を交えて、コムンゴで風流音楽を奏する自身を描いている。

▼ 霊山会相の中の「中霊山(중령산)」を聴く。ゆたりとして、霞湧く山中奥深く、コムンゴ、テグムの調べを楽しむよう。

・また、自画像とされる作品「布衣風流図(포의풍류도)」は、中央に琵琶を演奏しながら座る人物の着衣が、華やかな色彩の絹でなく、素朴な麻のところから、官職につかぬソンビを連想させる。周りに、刀、巻物、ひょうたん、そして楽器のセンファンが置かれている。絵の人物が奏している琵琶は、コムンゴ同様、ソンビの楽器とされた。また、センファンは、仙人が演奏する楽器として頻繁に登場する。素朴ながら知性溢れる姿は、金弘道を連想させる。

▼ 霊山会相の中の「打令(타령)」を聴く。素朴な楽器が、奏者の手にかかると味わいのある響きする。