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2014年3月18日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 済州七頭堂(霊登)クッ

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/12)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第47回として、「済州七頭*堂(霊登)クッ(제주・칠머리・당・굿)」にまつわる話を紹介した。

    (*)七頭:龍の頭のような岩が七つあり・・・(「済州島の神堂とその周辺」金泰順

まず、「花冷え(꽃샘 추위)」の時期、済州島の「霊登(용동)神」の紹介から次のように始まった。
・南から開花の話題が聞こえる。いよいよ春到来。この時期、必ず訪れるが招かざる客に「花冷え」がある。花が咲くのを嫉む寒さの意を持つ。強い風が吹き、冬がぶり返したような日が続く。春を迎えて安心した心に、風が吹き込み驚くのが特徴だ。
・昔、花冷えの始まる陰暦2月1日を「霊登の日」と呼んだ。風(神)を司る「霊登お婆さん」が、空から人間世界に降りる日から由来する。15日~20日ほど地上に留まり、再び空に帰る霊登お婆さんをもてなすため、器に水を汲み甕の上に備えたり、料理して供えた後、人々は口にした。この時期、海沿いでは、波風の被害がないよう竜王に祭祀(제사)を捧げた。農村では、耕畑を控えるなどの風習があった。現在、済州島の「霊登神」を迎えて送る「済州七頭堂クッ」が霊登神に関連行事として残っている。

▼ 「海女の歌(해녀노래)」を聴く。繰り返し相和す掛け合いは明るく、始原的な労働の響きする。

次に、「霊登神」の伝承を詳細に次のように説明された。
・済州島は、風の影響を強く受ける。住民は、海で魚を捕る漁夫、もしくは海女が多く、風の動きに敏感だった。そのため、霊登神が訪れる陰暦2月を「霊登月」と呼び、この間、海の仕事を禁じて、霊登神を手厚く祭った。霊登神には、「霊登お婆さん」、「霊登お爺さん」がいると呼ばれる。
・済州島の霊登神は、他地域と違い、ウェヌンベギ島、または、カンナムチョンジャグクから来ると信じられた。その時々、嫁と来たり、娘を連れて来たりするという。娘と来るときは、娘のスカートが風にきれいになびくよう、風と共に来るとされ、この年は凶作と言われた。嫁と来るときは、嫁がびしょぬれになって憎らしく見えるよう、雨を同伴するとされ、この年は豊作と言われた。
・済州市コンイプ洞に、「イルモリダン」(神を祭る「神堂(신당)」)がある。ここで、霊登神を迎え、送るとき「済州七頭堂霊登クッ」(要無形文化財、2009年ユネスコ人類の無形遺産に登録)を行う。

▼ 「済州七頭堂クッ」から「ソウジェソリ(서우제소리)」を聴く。海の働く香りして陽射し燦燦。

最後に、「霊登クッ」について次のように解説された。
・「霊登クッ」は、内容により、いくつかのパートに分かれ多様で・・・全ての神を招いて祭るチョカムジェ/竜王と霊登神を向かえるための道を清めるヨンワンマジ/村全体の厄を払うマウルドエクマグム/海女の収穫がどうかを占うイドゥリムなど、それぞれに登場する神の出生や保有の力について説明する部分がある。最近、済州島神話として広めることを進めている。済州島には女性の神が多い。一生、海に潜って家庭を支えたプライドを持つ海女たちの影響が大きいだろう。

▼ 「済州の海(제주바다)」を聴く。いっきに遠く南の海に飛んだよう・・・今様である。