夏を惜しむ・・・そんな、時季がやってきた。うるさかった陽射しが懐かしいほどに、朝夕に秋の気配を深める。寒さが苦手なわたしは、これからの気候の変化にとまどう。
今日は、二十四節気の立春から数えて十四番目の「処暑」。立秋と白露の間にあり、次の白露を過ぎれば秋分になる。季節は循環するといっても、今は気温の下り坂だ。
子どもの頃、夏休みの終わりといえば、遊び疲れて、ひんやりした畳の感触が心地よくて寝てしまい、やがて差し込んできた燈色の夕陽に照らされて辺りをうかがうと、庭先で鳴くツクツクボウシの声、台所で夕食の用意をしている母親が、食材をコトコト切っている音が聞こえてきた。子どもながらに、夏の終わりは私的なものだった。
夏の終わりといえば、歌や小説の題材に合うようだ。いささか手垢の付いた表現だが、毎年どこからか聞こえてくる。ちょっとセンチメンタル、酷寒が迫るほど瀬戸際でないのが都合いいのだろう。