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2013年7月15日月曜日

いつまでも若いねえ

子どものころ、銀幕スターが健在だった時代、いつも両親が口にしていたのは、山本富士子の「いつまでも若いねえ」だった。そうかなあ、若いっていうのは、それこそ吉永小百合のように初々しい若手女優のことではないのかなと、疑問を持ちながらも聞き流していた。

そういえば、最近の実力スターというのは誰なんだろうか。映画館に足を運んで邦画を見たのは、いつのことだろうか。なんと随分以前の「劒岳 点の記」(2009年)が一番新しいのだ。それは将来、映画界を背負っていく役者たちが演じていた。香川照之、浅野忠信だ。

では、テレビを探しても見当たらない。役者が浮かんでこないのだ。懐かしいマクルーハン流にいえば、銀幕に投影して映じられる反射の世界と、テレビ画面の内部から電子的に映じられる放出の世界の違いだろう・・・って、煙にまかれるけれど、この大量消費の現代、心的な映像に長くとどまる役者はいないようで、光りのままに発散して霧消するようだ。

いつまでも若いねえ、という前に姿を消してしまうのだろう。あるいは、若いねえといういうには、とっくに廻りが歳をとり過ぎたのだろうか。