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2012年11月20日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 崔慶萬

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(11/14)に、人物シリーズ54回目として、日本の篳篥(ヒチリキ)に似た2枚リードの木管楽器のピリ(觱篥:피리)の名人、崔慶萬(チェ・ギョンマン、최경만)(1947年~)を紹介した。

始めに、「ピリ」について次のように語られた。
・先史時代の遺跡から、一定間隔に13個の穴が開けられた鳥骨の一片の化石が発見され(1961年)、笛の一種と推測されている。現在伝えられる「ピリ」とは、大きさ、形、音を出す原理など違うが、韓国では口で吹いて音を出す楽器を総称してピリという。
・ピリは長い歴史を持ち、宮中の厳かな儀式音楽から、一般芸人たちの大道芸の伴奏音楽まで、常に<主旋律>を担当してきた。

▼崔慶萬のピリ他による「歌声(ノレッカラッㇰ、노랫가락)」、「青春歌(チョンチュンガ、청춘가)」を聴く。思いのほかシンプルでのどかな響きがする。

次のように崔慶萬のプロフィールが紹介された。
・1947年 ソウルの君子洞に生まれる。
・1963年 国楽芸術高等学校入学。京畿地域の巫俗音楽家出身のチ・ヨンヒに師事する。ピリと、チャルメラのような響きの管楽器テピョンソ(太平簫、태평소)を学んだ後、ソウル市立国楽管弦楽団員として活動を始める。
・1977年 米国に移住。音楽と別に生計を立てつつ音楽活動を継続して、ファーストアルバム「崔慶萬、ピリ演奏曲集」をリリースする。
・1997年 帰国後、国立国楽院の民俗楽団員として活動を始める。
・現役ピリ奏者中、最も演奏に長けているとの評価がある。演奏は、師匠の整えた軽やかなメロディーに、自らの線の太いメロディーを取り入れ、興のあるうちにもずっしりと重みのある音が特徴である。

▼崔慶萬のテピョンソによる、行進曲に使う「ヌンゲ(능게)」を聴く。テピョンソの辺りに撒き散らすような金管の音に思わず寄ってしまう・・・カラッとしてにぎやかで楽しい。

(プロフィールの続き)
・師匠のチ・ヨンヒの指導は、ピリを直接奏するよりメロディーを歌って教える、クウム口音、구음)という方法を多く使った。最近、崔慶萬は、京畿道や西道地方のメロディーを歌ったアルバムを発表、珍しさから注目が集まった。

▼崔慶萬の歌による、「愁心歌(スシムガ、수심가)、「ヨックム愁心歌(엮음수심가)」を聴く。人生の空しさを嘆く・・・淡々とリズムを打つように歌う。
参考)ユルイネ音楽教室の楽譜と解説に感謝。