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2012年9月24日月曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 黃秉冀

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(9/19)に、人物シリーズ46回目として撥弦楽器カヤグム伽耶琴가야금)演奏家、黄秉冀(ファン・ビョンギ、황병기)(1936年5月31日~)を紹介した。
(Ko-Wiki情報などからも、インテリでエリート中のエリートといった存在だろう)

まずカヤグムの復習から始まった。
・桐製胴体の上に載せられた弦を<指で弾いて>音を出す撥弦楽器で、外見や奏法は日本の琴によく似る。独奏曲としてもよく使われ、韓国の伝統楽器を代表する存在。
  → (東アジア全域に広がるロングシタール(long zither)類の伝統楽器の一つ)
・歴史的に、名が示す通り伽耶の国で作られたといわれるが、普及し広く演奏されたのは、伽耶滅亡後の新羅の国になってといわれる。
仏教が盛んだった新羅では、梵唄(ボムペ、범패)といわれる、インドからシルクロードを経て伝来の仏教音楽が各地で演奏されたという。

黄秉冀のカヤグム創作曲の基盤について解説された。
・はるか昔の仏教音楽を思い、黄秉冀が作り出したのが、カヤグム独奏曲「沈香舞(チムヒャンム、침향무)」。それまでのカヤグムの調律方法を変え、さらに両手で同時に弦を弾いたり、爪で弦をこすって音を出すなど、新しい演奏方法で注目を集め、カヤグム創作曲の基盤を作り上げた。
・カヤグム演奏家を目指す人なら、必ず学ぶ、カヤグム創作曲のひとつとして選ばれる。

▼黄秉冀のカヤグム演奏による「沈香舞(チムヒャンム)」の「第一楽章」を聴く。ひとつひとつ揺らぐように弦にリズムを与える・・・始まりを意識させるような。Ko-Wikiにある「天使の襟がなびくような透明なグリッサンドの分散和音」という音色と響きも聴いてみたい。

次のように黄秉冀プロフィールが紹介された。
・1936年 ソウル(京城府)に生まれる。
・1951年 中学生のとき 初めてカヤグムに出会う。(朝鮮戦争のため釜山で避難生活していた)
・1959年 ソウル大学法学部卒業。(国楽演奏家としてはかなり異色な学歴の持ち主)
ソウル大2年生のとき、KBS主催の全国国楽コンクールで1位を獲得する快挙を成し遂げ、ソウル大学の音大学長の目にとまり、法学部卒業と同時に、音大講師として働くことになる。
・1963年 4章からなる初の創作音楽「森」を発表。(カヤグムの音色で叙情的な自然描写を試みる)

▼黄秉冀のカヤグム演奏による「森(숲)」の中から、第3楽章「雨(비)」と第4楽章「月光(달빛)」を聴く。細かく繰り返すリズムは雨降りを想いださせる。余韻響く音色から静寂な夜の奥域を・・・少し賑やかに感じさせるけど。

・1970年代半ば アジェンの弓を使ってカヤグムの弦を擦ったり叩いたりする演奏に、さらに奇怪な女性の声が加わる、不思議な一曲「迷宮」を発表し若者にも話題になる。
作品に共通して言えることは、山や川、自然をテーマにしている。

▼黄秉冀作曲による「掃葉山房(ソヨプサンバン(소엽산방)」中から、「トドゥリ(도들이)」のコムンゴ거문고)演奏を聴く。リズムを浮き出すように、間を聴かせる・・・。