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2012年3月18日日曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 申快童

KBS WORLD放送の「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/14)に、人物シリーズ19回目として「幼い頃から風流音楽に親しんだという、(弦楽器コムンゴによる)コムンゴ散調(거문고산조)の大家、申快童(신쾌동:1910年~1977年)」を紹介した。

弦楽器コムンゴ(거문고)について、次のような紹介から始まった。
・(風流を楽しむ)ソンビたちに好まれ、長さ約1m50cm程で、細く短いバチを使い演奏する弦楽器。
・楽器胴体上に「クェ(괘)」といわれる木の板(フレット(fret))が取り付けられているのが特徴。

(参考)
イ・ソンヒが奏する「下絃還入コムンゴ」がYoutubeにある。(若き奏者は、歌手のイ・ソンヒではありません)
(Youtubeに登録のkoartny80に感謝)

申快童の演奏で、コムンゴによる散調の中からチュンジュンモリ(중중모리)」を聴く。弦の一連の、高音の速い奏でから低音に締めくくられる繰り返しに、リズムだけが次第に残る。

ここで、散調(サンジョ:산조)について復習があった。
・庶民の音楽である。
・テンポが、チニャンジョ<チュンモリ<チュンジュンモリ<チャジンモリ、とアップする。
・オンモリ、クッコリ、フィモリなどの、リズムの長短(チャンダン:장단)を加えることがある。

何々流という流派の考え方から、音楽作品について次のような興味深い話が語られた。
・散調は、そのメロディーを誰が作り出したのかによって、何々流という風に作曲家の名前が入る。
・西洋音楽は、作曲家がいて著作権が発生するため、他人がそのメロディーを無断使用できない。
・日本の場合も、伝統音楽は師匠の流派をそのまま受継ぎ、その形を守ることを目標とする。
・(韓国の)国楽の場合は、師匠のメロディーを基本としつつ、自らの新しい音楽観を具現することがその師匠の名を引き立たせることになる、と考えられる。

この辺りから芸術作品に対する、個別化と総合化のとらえ方の相違が見えるような気がする。

申快童の演奏と歌による、コムンゴ並唱(병창:弾き語り)で「八道遊覽歌(팔도 유람가)」を聴く。風流を解して、名所図会、はたまた三十六景・・・を眺めるごとくだろうか。

申快童の演奏による、「農夫歌(농부가*)」を聴く。風景画のように、遠くに農夫の動きを視るような印象がする・・・どうなのだろうか。
(*)Naver百科事典より

申快童プロフィール
・1910年 全羅北道 益山に生まれる。
・白樂俊(백낙준)からコムンゴ散調を学び高弟となる。
・1938年 朝鮮声楽研究会で弟子を教える。
・1977年 没す。